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12. おわりに

BIM/CIMで重要な点は、建設ライフサイクルにおける情報の持続性を重視していることです。そのため、統一的なプラットフォームを用いて情報を共有する事を推進しています。単に3次元モデルを作るだけではなく、事業ライフサイクルの効率化・高度化を牽引する役割としてBIM/CIMは期待されています。
 一方で、地質は不確実性を内在し、地質調査の質と量で地盤モデルの信頼性が変わります。さらに、地質は時間軸も含めた4次元の事象なので、構造物のライフサイクルの間で決して同じ状態と限りません。外力を受けると変形・破壊しますし、応力解放による緩み、化学変化による変質など、決して調査時と同じ状態は続きません。これは地質調査分野では当たり前なことです。BIM/CIMで3次元地盤モデルを利活用する際にも、地質の不確実性や時間変化の問題を避けることはできません。このように、3次元地盤モデルの品質や信頼性を一律に定義することは困難であるという、地質調査の根源的な課題が、BIM/CIMを進めるなかで改めて浮き彫りになっています。
 現時点では、BIM/CIMで要求される3次元地質・地盤モデルの属性情報や品質保障には課題が多く、データ継承の観点でもまだまだ未成熟です。ガイドブックでは、マニュアルに掲載している様々な先行事例や地質地盤事象におけるモデル作成上の留意点を示しました。BIM/CIMにおける3次元地質・地盤モデル利活用の一助となれば幸いです。

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