地層分布把握を目的とした3次元地質モデル作成事例

 (株)日さく  

鮑 沁  堀 信雄  

 <概 要>

橋梁基礎の検討に伴う地質調査業務において、調査地域の地層分布把握を目的として、2次元地質断面図より3次元地質モデルを作成した。本報告では、モデルの活用方法と作成時の課題について紹介する。モデルの作成にあたり使用したソフトは五大開発(株)製のMakeJibanである。

1.モデル化した調査地域の特徴

地形
 当該地は河川の浸食により、多くの開析谷が形成された台地に位置して
 いる。当該地周辺は、谷底平野となっており、1928~1945年の古地図
 より、調査地内に旧河川の形跡が確認できる。現在の土地利用は果樹園、
 田畑が主であるが、都市開発によって戸建住宅の建設が進んでいる。
地質
 当該地の地質は、下位より下総層群・新期段丘堆積物・新期関東ローム
 層が分布し、最上部には、後背湿地及び谷底低地堆積物からなる沖積層
 が分布している。

図1 今昔マップより引用、加筆した調査地点周辺の地形図 

nisaku_図0.png

2.モデルの作成方法

 モデルの作成は3次元地質モデル構築の基本ワークフロー(解析マニュアル,p54)に従った。

  使用ソフト:MakeJiban(五大開発)
  使用データ:地表→5mDEM(国土地理院の基礎地図情報)
  地質→ボーリング 23本、断面図 6断面 

nisaku_図1.png

3.作成した3次元モデルとその活用

パネルダイヤグラム
 隣接または直行する断面同士のつながりが見えやすくなり、層厚の増減や層の整合性の把握が容易となった。
ソリッドモデル
 特定の層を視覚化することにより、谷が深く存在している箇所等、対象地域の地層分布の特徴をとらえることができた(図4)。


 初学者や経験の浅い技術者にとって、2次元の断面図のみでは、対象地全体の地層分布状況をイメージすることは容易でない。そのため、パネルダイヤグラムやソリッドモデル等の3次元表現を併用することで、正確な地層分布の把握とより深い理解に役立つと考えられる。本事例の3次元地質モデルの作成を行ったのは、入社2年目の技術者であるが、作成者自身3次元化を行ったことで、調査地の地質分布がとてもイメージしやすくなり、理解につながった。
 また、発注者との打合せに3次元モデルを使用し、説明を行った際にも視覚的にわかりやすいと好評を得た。

nisaku_図2.png

図2 パネルダイヤグラム

nisaku_図3.png

図3 ソリッドモデル(全層表示)

nisaku_図4.png

図4 ソリッドモデル(沖積層のみ表示)

4.モデル作成時の課題と今後の対応

課題
複数のはさみ層、レンズ層が存在する断面については、3次元モデルでの再現が困難となる。本事例の狙いは沖積の谷地形の表現であったため、3次元モデル作成に際しては、レンズ層の作成は最小限としているが、モデル使用の目的に応じてどの程度まで再現を行うのか検討が必要となる。
 加えて、使用するボーリングデータの深度が異なる場合にはボーリングの深度が達していない部分については、他断面よりの補間となるため、信頼性の検討をよく行う必要がある。

 

今後の対応
 ①モデリング計画時に、モデリングの目的を明瞭にし、どのレベルの3次元モデルを作成するのか、発注者と良く協議を行う。
 ②既存データが存在する場合は、ドラフトモデリングを活用することで、より効果的な調査位置の選定・提案を行う。

nisaku_図5.png

図5 3次元地質モデル上で作成した断面図(左)とその基となった2次元断面図(右)

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