地盤改良(ペーパードレーン工法)の打設記録を利用した基盤モデルの作成
渋谷 典幸 小俣 雅志 下村 博之
<概 要>
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宮城県気仙沼市南気仙沼地区において、地盤改良の打設記録から基盤面点群データを作成した。
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汎用 GIS ソフトウェアである ESRI 社 ArcGIS pro を用いた解析を併用することで、点群に標高値や地層属性を付加した。
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作成した基盤モデルからは、海水準変動の影響を受けて堆積盆が埋積されていった過程を読み取ることができる。
1.はじめに
宮城県気仙沼市では津波で被災した南気仙沼地区および鹿折地区を復旧するための 「まちづくり」 事業が実施され、 2020 年 9 月に竣工を迎えたところである。
この業務は独立行政法人都市再生機構から清水 ・ 西松 ・ 奥村 ・ パスコ ・ アジア航測JVが受託したもので、 完成ま での全体期間を大幅に短縮するためにCM方式が採用された。 設計 ・ 調査 ・ 測量 ・ 工事の業務のほか、 プロジェクト全 体のマネジメント業務も同時に行い、 設計施工のメリットを最大限に生かしたファストトラック方式で実施された。
「気仙沼市震災復興事業の工事施工等に関する一体的業務」 パンフレットによると、 南気仙沼地区における整地面積 32.5ha に対し、 軟弱地盤改良工が合計で 9.1 万本に達するとされる。 本検討は、 気仙沼市に対して情報提供申請 を実施し、 収集した 「南気仙沼地区方眼測量成果」 「南気仙沼地区ボーリング柱状図」 南気仙沼地区ドレーン施工記 録」 を用いて基盤モデルの作成を試みたものである。 したがって、 本検討成果における不備等については全て筆者らの独 自見解によるものであり、 気仙沼市ならびに各受注業者の報告書類とは直接関係していない。
図1 調査位置図
(A: 宮城県気仙沼市の位置,黒枠は B の表示範囲 ,B; 南気仙沼地区周辺図 , 赤ハッチング範囲は C 赤枠と同じ範囲を示す ,C; 地表面標高は方眼測量より作成した盛土施工前標高)
2.検討位置・収集データ
本検討は宮城県気仙沼市のうち、 Fig.1C に示した赤枠範囲において以下に示す資料を収集 ・ 整理した。
・南気仙沼地区方眼測量成果︓200m メッシュの交点で測定された地表面標高およそ 800 点
・南気仙沼地区ボーリング柱状図︓施工時のチェックボーリング等を含め 45 本
・南気仙沼地区ドレーン施工記録︓およそ 8.2 万本分(一覧表、 施工平面図、 紙図面等)
・基盤地図情報(数値標高モデル)︓5mDEM(本論文作成のために使用)