地質・地盤モデル作成における3次元物理探査データの有効性
菊池 竜之介 佐藤 礼 高山 晃平
<概 要>
本ポスター内容は、建設ライフサイクルにおける3次元地質・地盤モデルの利活用について、「調査」分野に資する技術紹介である。3次元で物理探査データを得ることは、2次元で得た物理探査データから実際の地下構造を推測するよりも、精確に地下構造を把握できる。しかしながら、土木物理探査における3次元物理探査は、費用と時間の両面でコストが掛かってしまうこともあり、未だ十分に普及していないのが現状である。そこで、それらの問題を克服し、費用対効果の良い新たな3次元物理探査の技術開発を実施した。
(A)山岳地を想定した「フレックスライン弾性波探査」のシミュレーションおよび、
(B) 実データを用いた解析条件の検討を紹介する。
3次元物理探査を広く適用することが可能になれば、2次元断面間の解釈に関わる問題を解決し、 3次元地質・地盤モデルの品質向上に有効であると考えられる。
1.山岳地を想定したフレックスライン弾性波探査のシミュレーション
◆山岳トンネル調査で一般的に用いられる測線を設定し、従来の2次元解析を行った2次元弾性波探査と、3次元解析を用いたフレックスライン弾性波探査との比較を実施した
◆主測線約300m×2本、副測線約100m×2本の計4測線
設定した3次元モデル
2次元探査測線を使用し、3次元的に広がる複雑な地質構造を反映した解析が可能
交差する測線や、屈曲した測線の配置であっても解析が可能となり、3次元のモデル化が容易
2.実データを用いた解析条件の検討
◆弊社実験場にて物理探査データを取得し、以下の2通りの条件で解析をおこない結果を比較した
①すべての受振データを使用し、フルスペックで3次元の解析
(受振点・発振点を面状に配置)
②使用する受振データを間引き、フレックス型準3次元レイアウトで解析
(受振点を線状に配置)
②の場合にも、①とほぼ同様な結果が得られた
⇒疎らな測定レイアウトであっても3次元の良好な結果が得られる
費用対効果の向上を実現
○使用ソフトウェア:『Petrel』 (Schlumberger社製) 『OpendTect』 (dGB Earth Sciences社製)