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建築基礎地盤の3次元地盤モデル作成事例

国際航業株式会社

岸本 圭  

 <概 要>

【3次元地盤モデル導入の目的】
洪積台地における建築基礎の3次元地盤モデル作成事例を紹介する。本事例における3次元地盤モデルの導入目的は以下のとおりである。

・敷地面積13,000m2,建物面積8,400m2規模の工場敷地における基礎地盤の支持層深度および中間層の分布を3次元的に把握。
・格子配置断面図の整合性及び各層における連続性の妥当性確認。
・基礎設計の効率化(任意断面における地層分布の推定)。
・データの一元管理、情報の見える化・共有イメージの向上。

1.仕様・モデル化のフロー

モデル化環境
・ハード:CPU   :Xeon(R)W-2135 

         CPU@3.70GHz(12C)
     メモリ:32GB RAM
               OS    :Windows 10 Pro 64-bit
               GPU  :NVIDIA Quadro P4000(8GB)
・ソフト:AutoCAD Civil3D
     GEORAMA for Civil3D
     Navisworks、Navis+
・データ:地表面:国土地理院数値標高モデル
    :ボーリング柱状図(12~20m):12孔(.xml)
    :想定断面図:7断面

国際航業_図1.png

図1 3次元地盤モデル(サーフェスモデル)作成フロー

2.3次元地盤モデル

【作成した3次元地盤モデルの概要】
 格子配置された12孔のボーリング柱状図と想定断面に基づき、3次元地盤モデルを作成。分布が想定された盛土層や更新世の軽石層、ローム層、粘性土層、礫層を計八つの土層に区分し、各土層の境界面、及び支持層上面をサーフェスとして表現した。

国際航業_図2.png

図2 柱状図及び想定断面図に基づき作成した地盤モデル

【情報集約・一元化ツールとしての活用】
 作成された3次元地盤モデルは.dwg形式で納品(民間発注の為)。
柱状図・断面図データは属性情報として付与し、nwd/nwf形式で一元化。NavisWorksFreedomでの情報共有を図った。

国際航業_図3.png

図3 柱状図及び想定断面図に基づき作成した地盤モデル

国際航業_図4.png

図4 作成した3次元地盤モデル

3.今後の課題

【2次元断面の整合性とオペレーションにおける課題】
 対象事例では事前に作成した2次元断面から3次元地盤モデルの地層境界サーフェスを作成したが、作成過程で地層分布や連続性に関して整合性が取れない箇所が確認された。このため、再度2次元断面にフィードバックして想定断面の修正が必要となった。このように、
3次元モデル化は解析ソフトやオペレータのみでの作業では完結できず、地質技術者の技術的判断の介在が必要となる作業である。
【サーフェスの自動生成における課題】
 地質境界サーフェスの作成は「GEORAMAforCivil3D」の最適化原理により自動生成を図ったが、特に砂層のレンズ等の作成に関しては、初期条件(地質リスト・境界テーブルの設定)の設定において地質技術者が試行錯誤しながら境界レイヤーの細分化や順序設定を行う必要があった。これらの点に関しても、3次元地盤モデル作成作業は、地質・地盤技術者の関与が不可欠であるといえよう。
【3次元地盤モデル作成により得られた効果】
2次元断面の整合性担保、3次元統合モデルによるデータの一元管理、設計・施工段階への効率的な情報共有、イメージの向上が図られた。

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