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建築物基礎地盤調査における3次元地盤モデルの作成
(岩塊、玉石の分布域について)

 <概 要>

建築物の建設予定地において、基礎地盤調査を実施し支持地盤を確認した。調査結果に基づき柱状改良杭による基礎工法が採用され、工事を着工した。改良杭の施工を進めると調査時に確認できなかった、岩塊や玉石が障害物となり、工期や工費に影響がでた。
 今回、対象地の3次元地盤モデルを作成し、岩塊や玉石の分布域を整理してみたので紹介する。

1.利用データ、利用ソフト、使用PC

・利用データ  地形:単点の座標(X,Y,Z)を入力し利用ソフトで作成
         地質:本業務によるボーリング12孔+既往調査6孔の内3孔を利用 (.xml)
・利用ソフト   五大開発 MakeJiban Version2.00(64bit)
・使用PC    プロセッサ Intel(R)Core(TM)i7-9700 CPU@3.00GHz 実装RAM 8.00GB  OS:Windows 10 Pro

2.対象地の特徴

 対象地は丘陵地の端部で、標高は10m~15mであり北~北東に向かって低くなる。建築物は約100m×50mの規模で、3次元地盤モデルは130m四方とした(図1)。対象地の地質構成は、花崗岩が基盤を形成し、その上位に未固結堆積物(沖積層)が被服している。

ソーゴーギケン_図1.png

地質構成表

ソーゴーギケン_図2.png

図1 対象地の平面図(左:原地形,右:敷地造成後)

3.経緯

 予備調査(既往調査)で、建築物の建設が決まり、施工方法等が決定される。
対象地は花崗岩を基盤とする地域であり、岩塊や玉石の影響が懸念されるため、玉石層での混練撹拌性能に優れる工法が採用された。
 支持地盤の詳細を調査のため、建築物予定箇所で12孔のボーリング調査を実施した。
(調査時には岩塊や玉石は未確認)

改良杭施工時に岩塊や玉石が障害となる。3次元地盤モデルにより、岩塊や玉石の分布域を整理した。(作成は右図のフローによった) 

ソーゴーギケン_図3.png

4.3次元地盤モデルの作成結果

 3次元地盤モデルは、原地形で一度作成し、造成(切土、盛土)を反映してサーフェスモデルを作成した(図2)。
 岩塊や玉石による障害は改良杭443本中281本に及び、約6割の地点で何らかの障害が発生している。障害物の平面的な特徴は認められなかったが、深さ方向には大きな特徴があった。深さ方向では浅部(標高7m付近)と深部(標高3m以深)に大きく分けることができた(図
3)。
 岩塊は最大2m程度(写真1)であり、浅部の強風化花崗岩に残存する物が主体であった。玉石は人頭大のものが主体(写真2)で、沖積層の底部(Asc層およびAs層の底部)に多く認められた。

ソーゴーギケン_図4.png

図2 3次元地盤モデル(格子表示と地質体表示)

ソーゴーギケン_図5.png

​写真1 岩塊の状況(最大)

ソーゴーギケン_図7.png

標高7m(浅部)
Asc層の底部に玉石、Grw層内に岩塊が認められた

ソーゴーギケン_図6.png

写真2 玉石の集積状況

ソーゴーギケン_図8.png

標高3m(深部)
As層の底部に玉石が多く認められた

図3 標高7m及び3mの分布地質

4.今後の課題(問題点等)

 今回の試みは、岩塊や玉石の大まかな分布範囲を表現したもので、ソリッドモデルにより詳細な分布域を表現する事がさらに望まれる。それには、詳細な工事記録が必要となり、障害物の位置、深度、大きさを正確に把握するのは難しい。
 3次元地盤モデルの作成においては、地質境界サーフェスの作成は自動生成を図ったが、礫層の部分的な分布域の作成に関しては、条件設定において試行錯誤しながら設定する必要があった。この点については、3次元地盤モデルの作成作業には、地質・地盤技術者の関与が不可欠と思われる。

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