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港湾整備のBIM/CIM活用 ~地質コンサルタントとしての役割~

興亜開発株式会社

梅津 幸治  

 <概 要>

 国土交通省は、港湾設備のBIM/CIM活用で2021年度以降に新本牧ふ頭の基礎工について3次元モデル化の対象とする方針を明らかにしている。港湾整備のBIM/CIM活用を巡っては、調査、設計、施工の情報を標準化された3次元モデルとして登録し、統合モデルを作って関係者間でシームレスに共有・活用できる「港湾整備BIM/CIMクラウド」の構築を目指している。同省は新本牧ふ頭のプロジェクトをモデルケースとして、コアシステムとデータ活用システムを順次作成し、ライフサイクルの全作業をデジタルで行い効率化や省力化に努めていく方針である。
 一連の3次元モデル化の作業では、初期段階の地質調査で得られる地盤情報は後の設計・施工に重要な情報であり、地質コンサルタントとして3次元地盤モデルの品質と信頼性の確保は重要な使命・課題である。
 興亜開発株式会社は、2018年度に国土交通省関東地方整備局から新本牧ふ頭の地質調査委託業務を受注し、従来方式の地盤情報の取りまとめを行ったほか、新本牧ふ頭の地盤情報の3次元データの構築を行った。本ポスターではその取り組み状況を報告する。

◆新本牧ふ頭事業計画◆ 

新本牧ふ頭は、国際コンテナ戦略港湾施策の一環で、大水深・高規格コンテナターミナルと高度な流通加工機能を有するロジスティクス施設からなる新たな物流拠点を形成するものであり、国土交通省と横浜市が事業主体となって進めるプロジェクトである。(国土交通省関東地方整備局 記者発表資料より)

興亜開発図1.png

1.従来の3次元地質断面図(疑似3次元)

 従来は、対象地域の縦断図や横断図を大量に作成し、それをパネルダイヤグラムとして統合して表示させ、成層状態を擬似的に3次元的な成果としていた。この方法では以下のように視覚的には見やすくなるが、デメリットもある。

【メリット】
 ♦視覚的に理解しやすい

【デメリット】
 ♦多くの断面図を作成する手間が必要
 ♦クロスチェックに時間がかかる
 ♦後続の解析において、直接的にデータを利用できない。

  あくまでも「図」としてしか使えない
 

興亜開発図2.png

2.新本牧事業での3次元地盤データの作成例と利活用

 新本牧事業では、3次元地盤データの作成したのち3D模型を製作した

新本牧事業においては、SCP、CDM工法による地盤改良工事や基礎工事が施工されるため、この3次元地盤データを用いて以下のような利活用が期待される。
 ◆設計構造物と地盤の相互関係が3次元で把握でき、速やかな

  合意形成に役立てられる
 ◆3次元CADで再利用できる3次元形状データを作成できる
 ◆3次元的に矛盾のない2次元CAD地質断面図を提供できる
 ◆自由な位置で設計・検討用の図面を作成できる

☆3次元地盤モデルの利活用として想定される事例
もしくは 将来的な3次元地盤モデルの利活用にかかる提案
 ◆地質と構造物の干渉チェックやボリューム計算ができる
 ◆圧密沈下解析により埋立土量の検討に利用できる

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3.3次元地盤データの利活用の展望(当社の取り組み)

本来3次元である地盤調査の成果は、積極的に3次元化に取り組んでいくべきである。そのため当社は以下のような活用をめざして提案を行っていく方針である

興亜開発図5.png
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