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10. モデリング

10.5 モデルの妥当性評価

Point.5 3次元地質・地盤モデルの妥当性を評価する

3次元地質・地盤モデルの妥当性評価を行うには、地質専門技術者の判定が必要不可欠です。この判定は、自然現象の観察や類型化、既存文献の理論などに基づき、地質現象を科学的に再現していて適切な地質・地盤モデルになっているという評価が基本になります。

Fig100501.png

    図10.5-1 埋没地形面のサーフェスモデルを作成した事例(引用:1
左図はボーリングのポイントデータをそのまま用いて計算した境界面であり、地形面の形成履歴を反映したものではない。
右図はボーリングデータによる地形面の認定を踏まえ、さらに河川営力を考慮した補填データ等を加えた、地形形成過程を考慮した境界面である

■3次元地質・地盤モデルの妥当性とは
3次元地質・地盤モデルの妥当性評価は、モデルに不適切な部分がないかを判断するプロセスです。ここで言う不適切とは、地形・地質学的にあり得ない不自然な形を指すことです。
 例えば、単純な空間補間だけでは、作成したサーフェスモデルが地形形成過程や地質学的法則等の自然法則に反する、不適切な地質・地盤モデルになる場合があります(図10.5-1)。

■地質学的な妥当性を評価する視点
3次元地質・地盤モデルの妥当性評価に際して、どのような現象/事象を原因として、その形を成しているかを論拠付けることが重要です。3次元地質・地盤モデルの妥当性を評価するための重要な視点をまとめると下記のようになります。

 ◆基本物理法則
 ◆地形発達過程
 ◆地層累重の法則
 ◆地層同定の法則
 ◆断層や不連続面の切り合い順
 ◆対象地域の地形地質特性
 ◆地形地質の改変や地盤改良履歴

■妥当性の確認方法
作成したモデルの妥当性を確認するためには、ソフトウェアでモデルの形状を正確に可視化しなければなりません。例えば、地質境界面に異常な凹凸が生じていないかを確認するために、モデルの断面図表示(図10.5-2)やコンターマップ(図10.5-3)を作成する機能が必要です。また、モデルの解像度が形状の評価に影響を及ぼす場合があることにも留意が必要です(図10.5-4)。
 妥当性評価の結果は、提供者・利用者間で共通理解を得られる評価基準として属性情報や報告書等に記録すべきでしょう。

Fig100502.png

      図10.5-2 地質境界線とサーフェスモデルの比較例(引用:1)
地質境界線を入力データとした個所でサーフェスモデルの断面図を作成し、境界線とサーフェスモデルの誤差を確認する

Fig100503.png

図10.5-3 コンターマップによるサーフェス形状の確認例(引用:1)

Fig100504.png

図10.5-4 グリッドモデルの誤差確認の限界(引用:1)

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