3次元地質モデル作成から解析・活用
崔 伶準 関家 史郎
<概 要>
3次元地質モデル作成に初めて関わる人やより高度な3次元地質モデルを作成したい人にとって、3次元地質モデルを作成することはそう簡単ではない。地質ノウハウをソフト上に再現するため習得に時間がかかるのがその一因であるが、利用目的に応じた3次元地質モデルの作成、ツールの活用が重要と考える。そこで、解析・活用を意識した①基本データ作成②3次元地質モデル③解析システムへの連携④活用の流れを考察する。
1.はじめに
3次元地質モデルを作成するにあたり、作成するデータの準備、作成ツール、その利用を提案
2.①基本データ作成(基本データ作成ツールの開発)
地図とボーリングデータから簡単に地層境界面を作成するソフトを開発
図1 基本データ作成ツールによる地形作成
図2 地層区分による地質体作成
3.②より詳細な3次元地質モデル作成(MakeJiban利用)
3次元地質モデル作成に必要な基本機能
・作成機能(地層境界面、ボーリング、地質)
・表現機能(3次元ビュー、平面図、垂直断面図、横断面図、マルチ断面)
・表示機能(ツリー構造のレイヤー、チェックボックス)
・属性機能(表示方法)
・入出力機能(XML、テキスト、DXF)
・オブジェクト作成機能(全要素、トンネル、画像)
・外部データリンク機能(各種ファイル)
・ボリューム計算(ボクセル)
図3 3次元地質体のポリゴンとボクセル表現の自動計算
4.③3次元地質モデルと解析システムへの連携
3次元地質モデルを解析システムで利用するには、解析目的、システムに合わせた多様な形式への出力機能が求められる。
5.④活用(対策工および維持管理)
斜面安定計算等の結果から、有効な対策工を検討。
アンカー工、鉄筋挿入工、 杭工、のり枠工、切土盛土工、集水井工、横ボーリング工、水路工などを、地質モデルに追加することにより施工の状況が把握でき、維持管理に活用できる。
図4 ジオモデラ―から安定計算ソフトへデータ転送
図5 様々な対策工の適用
5.まとめと今後の課題
3次元地質モデル作成から3次元斜面安定解析・活用の対策工まで示した。「基本データ作成ツール」により、3次元地質モデル作成へのアプローチは簡単になった。さらにドローンやレーザスキャナー等から取得した点群データの活用が身近になった。今後維持管理の観点から、CIMと連携し、モデル作成要素の属性や関連データ管理ができるシステムの開発が望まれている。